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会長挨拶

継往開来

日本脊椎関節炎学会 第29回学術集会 会長 西本憲弘

 謹啓 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

 さてこの度、日本脊椎関節炎学会第29回学術集会を、2019年9月14日、15日に、うめきた・グランフロント大阪 ナレッジキャピタル にて開催させていただくことになりました。大変光栄なことと存じます。
 本学会では 「 けいおうかいらい」をテーマに掲げました。けいおうは先人の事業を受け継ぐこと、かいらいはそれを発展させながら未来を切り開くことを意味します。

 日本脊椎関節炎学会は、強直性脊椎炎およびその類縁疾患の研究促進と社会的認識の普及に貢献することを目的として、七川歓次先生と福田眞輔先生を中心に1989年(平成元年)に日本AS研究会として発足したことに始まります。その後、1991年(平成3年)に七川先生が会長となられ、大阪にて第一回学術集会が開催されました。先生方が、この疾患が日本では殆ど知られていない時期から疫学調査や病態研究に精力的に取り組まれたことは尊敬の念に堪えません。
 近年、TNFやIL-17を分子標的とする生物学的製剤の登場により治療法が長足の進歩を遂げ、患者さんのQOLが大きく改善されました。これに伴い脊椎関節炎の社会的認知度も向上してきました。また、臨床の場での分子標的治療の成功から、逆に基礎研究が進み、脊椎関節炎の病態も少しずつ明らかになりつつあります。
 しかしながら、すべての病態が解明されたわけではありません。病態形成に関るサイトカインはネットワークを形成しており、その相互作用を理解しなければ最適な治療の選択は困難です。ましてや、脊椎関節炎は脊椎病変のみならず、末梢関節、皮膚、消化管などに多様な症状を呈する疾患群であることから、病態解明と治療法の確立には幅広い専門領域の医師や研究者の協力が不可欠です。

 そこでこの度は、七川歓次先生のお膝元である大阪の地で「継往開来」を合言葉に、これまでに「わかってること、わかってへんこと」を確認するとともに、真の病態解明、そしてunmet medical needsの解決に向け挑戦いたします。
 多くの皆様にお集まりいただき、熱い討論をかわしていただくことを期待いたしております。ご参加を心よりお待ちいたしております。
謹白

日本脊椎関節炎学会 第29回学術集会
会長 西本憲弘
大阪リウマチ・膠原病クリニック院長
東京医科大学医学総合研究科難病分子制御学講座 兼任教授